■「選手が伸びるクラブ」
今回のメンバーを見ても、J3のいわてグルージャ盛岡、ロアッソ熊本から這い上がってきた谷口海斗、J3のアスルクラロ沼津や鹿児島ユナイテッドで武者修行した秋山裕紀、2年前は関東リーグ1部の東京ユナイテッドでプレーしていた長倉幹樹など、目覚ましい成長を遂げた選手が少なくない。
「(国立の)会場を何回も見渡して、感情の高ぶりを感じながらやりましたけど、本当にこういう舞台でプレーできるのはなかなかないこと。自分がプロになった時には想像できなかった。本当に目の前のことを一生懸命やってきた結果だと思います」と谷口もしみじみとコメントしていたが、彼らは”雑草軍団”であるがゆえに、サポーターや支えてくれる人々に感謝しながら戦っている。そういうメンタリティが今回の驚異的な粘りにつながっているのは事実だ。
実際、今の新潟は「選手が伸びるクラブ」という評価を得つつある。名古屋相手に左サイドを駆け上がり、再三、攻撃の起点を作った橋本健人を見ても、プロのスタートだったレノファ山口ではある程度、基盤を固めたものの、昨季赴いた横浜FCでは出番を得られず、今夏に新潟に加入してから一気に才能が開花した印象もある。
昌平高校から2021年に新潟の入り後、松橋体制になってからジャンプアップ。この決勝ではPK奪取を含む2ゴールに絡む大活躍を見せている。
「今年のパリ五輪には行けず、夏場に1回ケガもしてしまって、そこからなかなかコンディションが上がらない期間があって、『本当に一皮剥けるのは今日しかない』っていう気持ちで挑んだゲームだった。そこで1つ結果を残せたことはよかったと思ってます。
新潟のサッカースタイルはしっかりと成果も出てきているし、すごく誇らしい気持ちもあります」と小見は目を輝かせたが、彼らをイキイキと躍動感あるプレーへと導けるのが、育成畑の長かった松橋監督の手腕なのだろう。