■北川航也に続く得点力

 1つ言えるのは、来年、37歳になる乾頼みの戦い方は難しくなるということ。今季台頭した中堅世代はもちろんのこと、西原源樹や郡司璃来のような若手の成長も不可欠だ。
 清水の場合はポテンシャルのある10代選手が出てきても、その後伸び悩む例が少なくない。外国人選手や日本人の実績ある選手の壁に阻まれ、出場機会を得られないのがその要因だが、かつての岡崎慎司(バサラマインツ監督)のように泥臭く這い上がっていく人材がもっともっと出てきてもいいはずだ。
 今季は北川が2ケタゴールを奪ってチームをリードしたが、それに続く人材が少なかった。8ゴールのルーカス・ブラガ、5ゴールのカルリーニョス・ジュニオら外国人FW含めて、得点力のある選手がさらに何人か出てこないと、厳しいJ1を勝ち抜くことはできない。
 清水の場合、資金力がある分、「足りなければ外から連れてくればいい」という考え方になりがちだが、既存戦力を有効活用し、彼らを伸ばしながら強くなっていく形を取れれば理想的だ。
 いずれにせよ、過去10年間のような苦しい状況を払拭し、毎年のように上位争いに参戦する清水を見たいと願うファンも少なくない。そういった成長曲線を描けるように、強化部と現場がしっかりとビジョンを共有し、一体感を持って前進することが肝要だ。
(取材・文/元川悦子)

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