日本国内には、さまざまなサッカーの大会が存在する。その中でも独特の地位を占めているのが、「全国社会人サッカー選手権大会」だ。通称「全社」とは、どのような大会なのか。サッカージャーナリスト人生で初めて観戦した後藤健生が、同大会の「魅力」と「危険」を指摘する。
■地決「決勝進出チーム」がJSLへ
当初は、この社会人選手権大会の優勝・準優勝チームにJSLとの入れ替え戦出場資格が与えられていた。
だが、その後各地域リーグが整備されたことによって、1977年からは各地域リーグの上位チームによる「全国地域リーグ決勝大会」が創設され、この大会の優勝・準優勝チームがJSLへの挑戦権を獲得する形となった。
リーグ戦の昇格は、カップ戦の成績ではなく、リーグ戦の成績によって決めるというのは、正しい考え方だろう。
全国地域サッカーリーグ決勝大会は、ファンの間では「地決」として親しまれてきた。2016年大会からは大会名が「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ」(地域CL)と変更になったが、今でも「地決」と言う人が多いようだ。
「地決」が、9地域リーグの優勝チームだけで争われる大会であれば、コトは非常に単純なのだが、それ以外の3チームにも出場権が与えられる。「全社」でのベスト4に進出したチームがまず、その対象となる。ベスト4に進出し、なおかつ地域の最上位リーグに所属しており、しかも、そこで優勝していないチームには「全社枠」として、地域CL出場権が与えられる。
それでも、地域CL出場チームが12に達しない場合には、100年構想クラブに出場権が与えられ、それでもまだ12に満たない場合には、いずれかの地域リーグの2位チームも出場できる(その、特別枠を与えられる地域は、毎年変わっていくので「輪番制」と呼ばれている)。
きわめて複雑な方式だ。