後藤健生の「蹴球放浪記」第232回「ラオスがフランス領だったことで…」の巻(2)カタールW杯の禁酒生活がもたらした「スリランカカレーとビール」の感激の画像
2007年の五輪予選の入場券。ベトナム語のローマ字表記はフランス人宣教師が造ったもの。慣れないと読めない。提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生は、世界をまたにかけてサッカーを取材する。さらに、世界を食べ歩く。サッカーも食も、重要な文化。ともに掘り下げれば、大事なことが見えてくる。

■久しぶりの「アルコール」に感激

 昔、マレーシアに行ったときにタクシーに乗って、運転手と話をしていて、なぜかイスラム教の話になりました。マレーシアには中国系、インド系の人々が多数暮らしており、その運転手は中国系だったのですが、「ムスリム(イスラム教徒)になったほうがマレーシア社会では便利ではないのか」と尋ねたのです。

 その運転手は言いました。

「イスラムも悪くはないが、酒は飲めない、豚肉は食べないなんて、ありえない」

 これには、僕も同感です。

 僕は酒は好きですが、酒がなくても平気で暮らせます。中東にいるときは飲まないで過ごします。カタール・ワールドカップの間もいっさい酒は飲みませんでした。帰国便の経由地だったスリランカのコロンボでカレーを食べながらビールを飲んで、久しぶりのアルコールに感激したものです(スリランカも熱心な仏教国ですから、酒はどこにでもあるわけではありませんが……)。

 でも、確かに豚肉を食べられないのは残念ですね。

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