■フランス式のパンが「美味しい」ベトナム
イスラム教だけでなく、仏教でも酒は本来は好ましいものではありません。
日本でも、禅家の寺の山門には「戒壇石」というものが置かれていて、そこに「不許葷酒入山門」と書かれています。「葷酒、山門に入るを許さず」と読みます。
「葷」とは、ニラやニンニクのような臭いのきつい野菜のこと。そうした野菜や酒を持ち込んではいけないというのが、戒壇石の言葉の意味です。そうした刺激物は修行の妨げとなるからです。
もっとも、日本では法事などの仏教行事に飲酒はつきものですし、和尚さんには大酒飲みの人が多いような気がします(偏見?)。
いずれにしても、熱心な仏教徒が多いことも、東南アジアで酒が手に入らないことの理由なのでしょう。
というわけで、東南アジアではこれまで何度も酒を求めて町中を放浪した経験があったので、ビエンチャンのホテルのすぐそばにワイン・ショップを見つけたときに、「ああ、ここは元フランス植民地だったんだ」と実感したというわけです。
同じ「仏印」だったベトナムでも、当然、ワインは簡単に手に入ります。そして、ベトナムではフランス式のパンが美味しいことでも有名です。フランス式のバゲットに具材を挟んだベトナム式のサンドウィッチ「バインミー」は、今では日本でも簡単に手に入るようになりました(「バインミー(漢字で書けば餅麺)」は、本来は「パン」という意味のベトナム語です)。
ラオスの食文化にフランスの影響がどれくらいあるのか、僕は知りませんが、とにかくワインは簡単に手に入ったというご報告でした。