■香港、マカオは「まったく違った」街に

 第1次世界大戦でドイツが敗北してからは、この地は南アフリカの委任統治領となり(第2次世界大戦後は信託統治領)、南アフリカによって支配されていましたが、それでも街の風景はドイツらしさが残っています。議事堂や政府の建物などが並ぶ中央広場に立つと、本当にドイツっぽい建築が並んでいます。

 もっとも、ナミビアの首都ウィントフクは治安があまり良くなかったので、暗くなってからは自由に出歩けませんでしたが……。

 このように、昔どこの植民地だったのかによって、街の景観は大きく変わってきます。

 身近な例では香港とマカオ(澳門)があります。

 どちらも、もともとは中国南部・広東省の小さな漁港でしたが、香港は英国の、マカオはポルトガルの植民地となったことで、まったく違った街に発展しました。

 英国人は香港の地に英国風(あるいは植民地風)の建物を建てて、芝生の広場を作ってスポーツに興じました。だから、同じ英国植民地だったシンガポールと似た街並みになっています。

 一方、マカオのほうはポルトガル的な風景になりました。最近のマカオは沖合が埋め立てられ、近代的な高層ビルが建ち並んでいますが、それでも本来のマカオである半島部にはポルトガル的な景色を見かけます。政府庁舎のあるセナド広場には「アズレージョ」が敷き詰められていて、リスボンの裏町を思い起こさせます。

 どこかの国に行ったら、そこが昔はどこの国の領土だったのかを考えてみると面白い発見があることでしょう。

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