■濃野公人が語る手応え
「後半システムを5枚に変えて相手のミラーゲームなった中で、ちょっと攻撃が停滞したかなというのはありますね。お互いがガチッとはまってどっちも守備しやすくなったので。でも今日はこれをやるしかなかった。これからまだまだ伸びしろがあるなと感じます。
相手が4バックで、4枚4枚のミラーになった時に流れを変えるために5バックを途中から使うというオプションが増えたのは確かだし、チームとしてはより強くなるきっかけになるのかなと思いました。5バックが生きてくるのは相手が4バックの時だと僕は思う。これからに期待してほしいです」
濃野公人は前向きにコメントしていたが、戦術的な幅が生まれたのは確かにプラスと言える。今回は右CBに入った三竿が最終ラインとボランチを行き来することで、やや守備のバランスが崩れがちな印象もあったが、練習や試合を重ねていけば成熟度は高まっていくはず。その一歩を踏み出したことは、シーズン終盤に向けて新たな活力になりそうだ。
実際、超過密日程の広島が70分以降、ペースダウンして、危ない場面は減った。そしてラスト8分というところで17歳の新星・徳田誉の2点目が飛び出し、鹿島は何とか2-2の引き分けに持ち込んだ。もちろん欲を言えば3ポイントがほしかったが、広島相手に勝ち点1は悪くない結果。首位に返り咲いた町田ゼルビアとの差は9に開いたが、1試合消化が少ないことを考えると、逆転タイトルの可能性はわずかに残されたと考えていい。
残り9試合は連勝街道を驀進しなければいけない鹿島。広島戦をベースにして、より多彩な戦いを仕掛けていくべきだ。
(取材・文/元川悦子)
(後編へ続く)