■鹿島が3バックに

 この1週間で2つのタイトルを落とした相手は凄まじい闘争心でスタートからぶつかってきた。鹿島は序盤やや主導権を握られたものの、柴崎が組み立てに参加し、パス出しの起点になるなど、これまでとは違った色合いの攻めを披露する。そして前半16分には名古の右CKから知念がドンピシャのタイミングでヘッドを合わせ、幸先のいい先制点を挙げることに成功した。

 だが、直後に広島の新助っ人FWゴンサロ・パシエンシアに同点弾を浴びる。それでも、柴崎を中心とした鹿島のコンビネーションや連携・連動性は見ごたえがあった。鈴木優磨も下がり目の位置でゲームメークに参加。そこで名古らがチャンスを決め切っていたら状況は違っていたが、決定力不足が重くのしかかったと言っていい。

 痛かったのは前半36分の松本泰志の2点目だ。鹿島としてはいい流れで試合を運んでいただけに手痛い逆転弾だったに違いない。ポポヴィッチ監督も巻き返しを図るべく、後半に突入。後半14分に柴崎と師岡を下げ、樋口雄太とターレス・ブレーネルを投入したところで、”秘策”の3-4-2-1へとスイッチ。ミラーゲームにして相手のサイド攻撃を封じようと試みたのだ。

「相手のウイングバック(WB)にウチのサイドバック(SB)が引っ張り出された背後のスペースを使われることによって、センターバック(CB)がケアしなければいけないスペースが広くなった。それを90分間続けているとCBが疲弊し、状況によってはボランチがケアできない展開に陥る。捕まえ切れていなかったWBをまずは捕まえることを意図していた」と指揮官は説明したが、鹿島の3バック採用は滅多にないこと。中断期間に入念な準備を行えたからこそ、踏み切れたのだろう。

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