■福森の決勝弾で横浜FCが暫定で首位浮上

 1対1に追いついた横浜FCは、その後も主導権を握っていく。3バックの左CBに入る福森晃斗が、ポゼッションジにボランチのようなポジションを取ることで、ビルドアップ時のパスコースが増えていく。ボールロスト後も、高い位置から奪い返すことが可能になる。

 四方田修平監督は65分にFWカプリ―ニとFW伊藤翔を、71分にはFW村田透馬とFW櫻川ソロモンを投入する。伊藤は前節までチームトップの7ゴール、カプリ―ニは同6ゴール、途中出場の多い櫻川も3ゴールを記録している。同じく交代カードとしての出場が多い村田も、2得点をマークしている。この保有戦力の厚みが、横浜FCの強みだ。

 80分には2対1とリードを奪う。ユーリ・ララがまたしても右ポケットへ侵入し、マイナスのクロスを供給する。MF井上潮音のシュートはブロックされたが、セカンドボールを福森が左足でゴール右へ豪快に蹴り込んだ。リーグトップのアシストを記録している福森は、今シーズン2ゴール目だ。

 横浜FCは失点がリーグ最少で、76分以降の失点が「0」なのである。疲労感が漂うこの時間に集中力を保ち、プレー強度を保っているのだ。守備時は5-2-3のブロックで内側を締めつつ、山形のウイングにいい形でボールを供給させない。

 必要以上に後ろへ重心を置くことはなく、失点のリスクを最小限に抑えながら、横浜FCは終了のホイッスルを聞く。J2でのクラブ歴代2位タイとなる15戦負けなしとし、勝点を「63」とした。

 今節は台風10号接近の影響で、首位の清水エスパルスの試合が中止された。勝点1差で2位だった横浜FCは、暫定ながら首位に立ったのである。

 今シーズンのJ2リーグは清水、横浜FC、それにV・ファーレン長崎が3強を形成してきたが、長崎が6戦勝利なしと急激にペースダウンした。勝点63の横浜FC、勝点61の清水が、数字上だけでなくピッチ上のパフォーマンスにおいても、一歩抜け出しつつある。

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