■長澤の離脱を触媒とした仙台の化学変化を

 31日の次節は現時点で7位と、J1昇格プレーオフに進出できる6位以内を狙っているいわきFCを、ホームのユアテックスタジアム仙台に迎える。

「試合後は『左の頬を殴られたら、次は右の頬を突き出していく。そういった気持ちがない選手とは一緒に戦いたくない』とみんなに話しました。和輝と一緒に築いた順位にいる状況に感謝しながら、ここから先、僕たちが上がっていくのか、落ちていくのかも僕たち次第。ちょっとでも下を向いているようでは話にならない」

 海外へ旅立つ長澤を欠いて迎えるいわき戦へ向けて、気持ちの部分がとりわけ大切になってくると檄を飛ばした指揮官に、工藤も思いをシンクロさせた。

「和輝くんがいなくなるのは、自分たちにとってマイナスな部分もありますけど、和輝くんに頼りすぎるのもよくない。これを機に自分で何かと変えなきゃいけないと考えているし、和輝くんがいなくなったいまがチャンスだと思っているので、しっかりと声を出しながらチームの中心になれたら……なりたいと思っています」

 言葉をふと途切れさせ、言い換えた後に工藤の決意が凝縮されている。精神的な支柱も兼ねていた長澤の代役は、そう簡単には見つからない。それでも、思いを託して旅立つ長澤を不安にさせるわけにもいかない。長澤の離脱を触媒とした仙台の化学変化は、工藤に象徴されるようにすでにはじまっている

(取材・文/藤江直人)

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