■廃墟となった帝国の首都「跡地」に
さて、1986年大会ではメキシコ市に隣接する、ネサワルコヨトルという無名の町の小さなスタジアム(収容3万4500人)でも試合が行われました。
とても不思議な街です。
現在のメキシコと呼ばれている地域は、古代から数多くの文明と数多くの国家が栄えては滅びるという歴史をたどっていました。
現在、メキシコ市がある場所にはかつて「テスココ湖」という大きな湖がありました。そして、14世紀にアステカ民族が一帯を征服して、1325年にテスココ湖上に首都のテノチティトランを建設。アステカは巨大な帝国に発展しました。
しかし、その約200年後の1519年にスペイン人のエルナン・コルテスが上陸。上陸したスペイン人はわずか数百人でしたが、アステカ帝国の強圧的な支配に反感を持つ周辺の民族と同盟を結んで、瞬く間にアステカ帝国を征服してしまいました。そして、テノチティトランの廃墟の上にメキシコ市を建設したのです。
「メキシコ」(現地語でメヒコ)は、アステカ民族の別名です。