【鹿島、優勝のビックピースへ。新加入FW田川亨介の色と共鳴(2)】チームにとって逆転優勝への大きな武器に――そのために求められる“特徴をシンプルに発揮すること”の画像
鹿島アントラーズの優勝のピースとなるか 撮影:中地拓也

「真ん中にいた方が、サイドの時間とかは前にああいう圧力をどんどんかけてくれるので。すごく助かります」

 鹿島アントラーズの左サイドハーフに入った仲間隼斗は、右サイドから前線に移った田川亨介の効果についてそう語った。4―2―3―1から4―4―2になり、鈴木優磨と田川の2トップに。名古新太郎が2列目の中央から右サイドに回った。182cmの鈴木と181cmの田川ということで、Jリーグでもツインタワーと呼ぶには強引かもしれないが、幅広く起点になれる鈴木と裏抜けの得意な田川というコンビはこれまで鹿島に無かったオプションだ。

 田川は「優磨くんは結構、落ちてボールを受けて組み立ててくれるので。いつも背後を狙いながら」と語るが、左右からのクロスに対してはゴール前で構えて、ターゲットの一人になることを心がけていた。結果的にゴールにはならなかったが、後半アディショナルタイムに鈴木が、右ワイドに流れて、サイドバックの濃野公人と絡んでゴール前に侵入したシーンがあった。ファー側で構えていた田川は、浦和レッズの左センターバックであるマリウス・ホイブラーテンが鈴木に対応した瞬間、背中を取る形でその内側に入り込んだ。

 もう一人のセンターバックである井上黎生人が素早く反応して、ホイブラーテンとのギャップを埋めに来たこと、鈴木の侵入が深くなり、田川にとってジャストのタイミングではなくなった状況で、鈴木はやや強引にシュートを打って、GK牲川歩見に正面でセーブされた。

 しかしながら、今後に向けては非常に可能性を感じさせるプレーだ。こういうところは二人の関係性、周りのイメージがさらに噛み合ってくると、まさしく田川がゴールできるシチュエーションが増えるだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3