西川PK献上「重なった」2つのミス
浦和のCBの背後に蹴られたボールを、井上がヘディングで西川にパスしようとする。そのボールが短かったため、CFマルセロ・ヒアンに先に触られて、西川が相手を倒してレッドカードをもらい、退場してしまう。
ここでは浦和の2つのミスが重なっている。まず1つ目は、CBマリウス・ホイブラーテンがヒアンの進路妨害をしていないことである。つまり、走っている前に立つとかヒアンのスピードを緩める作業をしなければならない。
2つ目は、井上がヘディングでパスを選択したことである。先にも指摘したが、井上はヘディングが得意な選手であるので、自分のヘディングで西川まで送れると考えた。しかし、実際は距離が遠かったので届かなかったのである。
ここはヘディングで返すフリをして、GKと逆側にトラップしてターンする。ヒアンは最初から狙っていて全力で走ってきている。しかし、井上にはヒアンの動きが見えていない。井上からすれば、西川がもっと自分に寄ってくれればという思いもあっただろうし、西川からすれば、ヒアンの動きが見えていたので前に出ていくのが怖い場面でもある。
実際に映像を見れば、前に出る前に2歩下がっているので、下がらずに最初から前に出ていたら先にボールに触れていたかもしれない。
冒頭で述べたように、激闘ハイライトなどと並行してこのコラムを読んでいただければ、ピッチで何が行われて何が行われていないのかがわかっていただけるかと思う。
一瞬の、瞬間の判断が勝負を左右する。全力でプレーしていても、判断の遅さや対応の選択ミスで失点に結びついてしまう。こうした細かい事象を、このコラムで少しでも感じとってもらえればと考えて書いている。
浦和のサッカーに関しては、別の機会で述べようと思うのだが、この試合でもわかるように、チームにおいて相当に厳しい状況になっていることは確かである。