■日本代表の将来に重要な「さらなる成長」

 そんな中、パリ・オリンピックを1年後に控えた2023年夏に藤田はベルギーのシントトロイデンに移籍し、そこで出場機会を得て復活した。

 U-23日本代表ではキャプテンとしてチームの中心にいて、プレー面では守備能力と攻撃的センスの両者を発揮して、日本の中盤になくてはならない存在となっていた。いずれ、ビッグクラブから声がかかるのは必然だろう。

 日本の中盤は人材豊富ではある。だが、アンカー・ポジションを務める遠藤航は替えがきかない選手だ。持ち前のボール奪取能力に加えて、リバプール加入以降は正確なパスを前線に供給する仕事で急成長した。カタール・ワールドカップ修了後、吉田麻也大迫勇也などベテラン勢が代表から遠ざかる中で、森保監督は30歳を過ぎた遠藤を一貫してチームの中心として扱っている。

 もちろん、遠藤に衰えはないし、2026年の北中米ワールドカップまでは日本の中盤を託していける存在ではある。

 だが、ポジションの性格上、負傷やイエローの累積というリスクは当然ある。リバプールというクラブに在籍している以上、非常にプレー強度の高い試合を強いられるし、ヨーロッパのカップ戦も戦うので試合数も増えるので疲労の蓄積は尋常ではないだろう。代表でもすべての試合で戦い続けることは難しいかもしれない。

 そんな遠藤を取り巻く状況を考えると、藤田がさらに成長して遠藤にキャッチアップしていくこと(追いついていくこと)は、日本代表の将来にとっても重要だ。

 秋に始まるワールドカップ最終予選では、オリンピック・チームで縦のラインを形成していた選手は、いずれも招集される可能性が高い。藤田も、日本代表に招集されるだろうが、トレーニングや試合を通じて遠藤と時間を共有して、その経験を受け継ぐことで、代表でのアンカーを任せることができる存在に急成長していってほしい。

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