■世界との差は「小さいようで大きい」

 0対2のまま迎えた88分には、相手の左CKの流れから3失点目を喫しました。日本も細谷の決定的なシュートが相手GKの好セーブにあったり、DF高井幸大のヘディングシュートがバーを叩いたりと、好機は作り出しました。しかし得点を奪うことはできず、0対3で敗れたのでした。

 スペインの3ゴールは、彼らが得意とするパスワークをきっかけとしたものではなく、個人で決め切る力とセットプレーがもたらしたものでした。高い技術や個人戦術、チーム戦術に優れているのはもちろんですが、直前のエジプト戦で主力10人を休ませ、日本の分析も徹底するなど、勝つためのノウハウをあらゆる角度からサッカー界全体として蓄積している印象です。

 ひるがえって日本です。

 私が出場した1996年のアトランタ五輪当時は、「出場すること、世界の強豪と戦うこと」が目標でした。しかし、現在は「世界で勝つこと」が目標になっている。目線は明らかに高くなっています。

 対外的な評価も、みなさんが思っている以上に高いと言うことができます。アルゼンチンやウルグアイの友人は、「日本は良い選手が多くて強いな、成長しているな」と言います。日本サッカーが世界に認められるようになっているのは事実で、同時に、ワールドカップではベスト16の壁が、五輪ではベスト4の壁が日本の課題となっています。

 世界のトップ・オブ・トップとの差は、小さいようでまだまだ大きい──スペイン戦で明らかになった我々の現在地です。今回の4試合をしっかりと振り返り、育成年代の強化の現場に課題を落とし込み、5年後、10年後を見据えて強化をしていく。日本サッカー界全体の結果と受け止めて、僕自身も小さなことから貢献していきたいと考えています。

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