パリ五輪グループリーグ第3戦となったイスラエル戦。すでに、予選突破を決めている日本は準々決勝に向けて、ターンオーバーしたメンバーを大幅に投入。予想通りの起用となったが、その目的は「勝つこと」だった――。大岩監督の強い意思が分かる2人の交代と初披露となった新システム、そして、その意思を崩しかねない危険な時間帯とチームの窮地を救った2人の存在を中心に、イスラエル戦を振り返る。
大岩剛監督の「燃える闘志」を感じた試合
準々決勝の相手がどこだろうと関係ない。すべての試合を勝ち、優勝する――。大岩剛監督とU-23日本代表の燃えるような闘志を示した試合だった。
すでに終了していたC組の試合の結果、D組の日本は首位ならスペインと、そして2位ならエジプトと対戦することになっていた。大岩監督は予定どおり大幅にターンオーバーしたメンバーを起用したが、目的はひとつ、「勝つこと」だった。
その意図が明確に見えたのが後半34分、川崎颯太から藤田譲瑠チマ、そして荒木遼太郎から細谷真大への交代だった。アディショナルタイムを含めて残りは15分間以上。川崎が背中を打ってプレー続行ができなかったタイミングで、大岩監督の選択は、「勝負に行く」ことだった。
川崎から藤田への交代は、他に選択肢がなかった。しかし、細谷の投入に当たっては、佐藤恵允に代わるのではないかと、私は考えていた。左ウイングで先発し、途中から右のウイングとなって、佐藤は攻守両面でフルパワーの戦いを続けていた。センターフォワードでプレーしていた藤尾翔太はまだ動けそうだったので、藤尾を右に回し、細谷のワントップにするのではないか――。