■左サイドからの崩しは狙いどおり

 試合を追いかけていくと、開始5分の右CKで日本の「準備」が見えました。今シーズンのJ1リーグでは、FC町田ゼルビアのセットプレーやロングスローがクローズアップされていますが、大岩剛監督のチームも先のUー23アジアカップからセットプレーを得点源としてきました。MF山本理仁の右CKを右SB関根大輝が合わせたこのシーンは、あらかじめ用意したパターンのひとつだったのでしょう。

 19分の先制点は、左サイドでSBの大畑歩夢、インサイドハーフの三戸舜介、ウイングの斉藤光毅がローリングして崩し、三戸が冷静に決め切ったものでした。15分にも左サイドから崩しているので、チームとしての狙いだったのでしょう。この得点場面では、相手CBをブロックしたFW細谷真大の動きも見逃せません。複数の選手がボールに関わる連動性や若さがもたらす勢い、それに知性も感じられた得点でした。

 1対0とした直後の21分にも、決定機を作り出しました。MF藤田譲瑠チマが右サイドから持ち出し、斉藤がDFラインと駆け引きをしながら左サイドから斜めに抜け出し、ペナルティエリア右からシュートへつなげました。

 斉藤はサイドのレーンとハーフスペースをうまく使い分けることができる。オランダでプレーすることで、個人戦術に磨きがかかっていると感じます。三戸にも同じことが言えます。

 前半は1対0で終えました。速攻狙いのパラグアイにスキを見せず、自分たちはカウンタープレスでボールを奪い返してファウルをもらうといったように、しっかりと試合を締めていました。

(構成・戸塚啓)

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