「みんながみんなすごく戦える選手」

――中でもマリとは3月に親善試合で対戦して、日本はホーム(サンガスタジアム)で1-3で敗れています。
 藤田選手は76分からピッチに立たれましたが、マリ戦の感想として「相手との瞬発力やフィジカルの差が多く見られた」「そこから相手のチャンスになっていた」と当時、話されていました。そのマリ戦を含め、その3チームとの闘いに向けて準備していること、たとえば、マリならば、瞬発力、フィジカルで勝る相手に勝つために考えていること、準備していることはありますか?

藤田 特に、準備していることは、チームとしてもないと思います。ただ、常日頃から剛さん(大岩剛監督)やスタッフの人たちには「世界基準でプレーしろ」と言われているので、そういった準備は、代表メンバーはみんな、できているのかなと思います。

――藤田選手は、前回の東京五輪のときに、五輪代表のトレーニングパートナーのメンバーに入っていたと思うのですが、前回ベスト4に入り、ただ、メダルには一歩、届かなかった東京五輪メンバーを間近で見ていて、そのチームと今回のチームの違い、それと、さらに上に行くためには何が必要だと思いますか?

藤田 東京五輪のスペイン戦に関しては、勝つか負けるかわからないギリギリの難しい試合だったと思うので、あそこで勝っていたら、優勝できていたチームだと思います。
 すごいチームだと思いますが、今のチームも、いいものがあると思います。自分たちは、みんながみんなすごく戦える選手ですし、パリの本選で戦ってみなければ、分からないかなという感じです。

――日本代表の過去の実績では、初戦で勝つと上昇気流に乗りやすい傾向(2004年アテネ、2008年北京、2016年リオデジャネイロでは、いずれも初戦で敗れてグループステージ敗退。初戦で勝った2012年ロンドン、前回の東京はベスト4入り)がありますが、何か初戦に対する特別な思い、覚悟のようなものはありますか?

藤田 自分は、初戦が特に大事だとは思っていません。試合は全部、大事だと思っているので。それに、もし初戦にすべてをかけて、あまりに初戦が大事だと考えすぎて初戦がコケこけたときに、受けるダメージが大きいと思うんですね。
 だから自分は、特に初戦が大事とは考えず、目の前の試合、一戦一戦に全力を注げたらいいなと思ってます。

――期待しております。チームを支えて頑張ってください。

 では続いて、日本にパリ五輪出場権とアジア制覇のトロフィーをもたらしたU23アジアカップ カタール2024について振り返らせてください。

藤田譲瑠チマ(ふじた・じょえる・ちま)
2002年2月16日生まれ、東京都町田市出身。ナイジェリア人の父と日本人の母との間に生まれ、小学生時代は町田大蔵FCでプレー。東京ヴェルディの下部組織で才能を伸ばし、2019年9月にトップチームデビューを果たす。その後、当時J1の徳島ヴォルティスから横浜F・マリノスを経て、2023年7月にベルギー1部リーグのシント・トロイデンへ完全移籍。日本代表デビューは、2022年7月の香港戦。4月にカタール・ドーハで開催されたU23アジアカップで、キャプテンとして日本代表を優勝に導き、自身も大会MVPに輝いた。パリ五輪出場を決めた準決勝のイラク戦では、長短2種類のパスで2アシストし、2-0の勝利に貢献。その広い視野、デュエルの能力、正確な技術、試合の流れを読む洞察力は、A代表の遠藤航(リヴァプール)以上との評価も。大岩剛監督の下、7月25日(パラグアイ戦)からのパリ五輪に挑む。ポジション=MF。身長175cm、体重76kg。

 

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