■ジャーメインを残す選択
山田を加えた攻撃な形は練習でもやっていたという。ジャーメインは「ちょっとスクランブル気味になりましたけど、大記くんが守備のところはやってくれてたので。自分としてはバランスとりながら、前に出ていくタイミングをうかがうというか、攻撃に少し力を残していくイメージでいました」と語る。
要はFWのマテウス・ペイショット、ジャーメインを残して、左右に古川とブルーノを入れた状態で、さらに攻撃的な山田を加える布陣は、行き当たりばったりのプランではなかったということだ。
ただ、磐田のベンチサイドからも、当然ジャーメインの体力が限界に来ていたことは分かっていたはず。すでに負傷したGK川島永嗣が杉本光希に代わり、その後、二枚替えで両翼の古川陽介とブルーノ・ジョゼを投入していた磐田にとって、交代カードを切れるタイミングは残り1回だった。
ベンチには山田の他にMF平川怜とDF西久保駿介がおり、ジャーメインを下げて別のオーガナイズを選択もあったはずだが、横内監督は3回目の選手交代で、5枚を使い切らずに山田だけを送り出した。磐田のエースを最後まで残して勝負することを選択したのだ。
そうした思いが実る形での同点劇。そして東京ヴェルディ戦の怪我で離脱して以来10試合ぶりのゴールを決めていたジャーメインが、2得点に絡んだ。ここに来てのエースの復活は磐田の残りシーズンにとって大きなものとなりそうだ。