山口蛍が感じた「鈴木優磨の不在」

「鹿島の外国人FW(チャヴリッチ)が走れない、ちょっと強度が足りないっていうのは分かっていたので、しっかり後ろから回すというのが狙いだった。そうなると相手のプレスもハマらず、焦れていく。そうやって相手を引き出しながら間で受けて、そこから展開していく形を見せたかった」と武藤嘉紀はしたたかさをのぞかせたが、まさに鹿島はその術中にハマり、前半18分に安西幸輝の背後に飛び出した武藤に裏を取られて同点弾を浴びる形になってしまった。

 そこからはゲームコントロールもできなくなり、主導権を握られた。神戸のキャプテン・山口蛍も「鈴木選手がいなかったのは僕たちにとってすごく大きかった。やっぱり彼がいるいないでこれだけ鹿島っていうチームは変わるんだなと改めて思いました」としみじみ語っていた。

 山口が続けて語ったことだが、やはり鈴木優磨は前線で起点を作れるし、チャンスメークもできるし、決定的な仕事を全て担っている存在だ。「正直、彼がいないゴール前の怖さはほとんどなかった」とも発言していたが、鹿島としては優磨不在の戦い方を見出しきれなかった。そのまま前半38分に右CKからマテウス・トゥーレルに逆転弾を決められるという最悪の流れを余儀なくされたのだ。

「優磨が抜けて、チャッキーを入れたからといって、全く同じことはできない。優磨の特徴はいいタイミングでライン間に落ちてきてボールを収めて、周りの選手が背後に動くのを生かすというプレースタイルです。

 チャッキーは背後に抜けるのが特徴の選手ですから、チャッキー以外の選手がいかにライン間でボールを受けてタメを作るかが今日の試合では必要でしたが、それが前半うまくいかなかった」とポポヴィッチ監督も問題点をズバリ指摘していたが、彼らは最適解を見出しきれずに流れを持っていかれてしまった。

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