ミヒャエル・スキッベ監督体制3年目を迎えた今季、優勝候補の一角に上げられていたサンフレッチェ広島。間もなく2024年シーズンの折り返し地点を迎えるが、J1は勝ち点29と首位・町田ゼルビアと9ポイント差の5位。YBCルヴァンカップで8強入りし、6月12日の天皇杯2回戦でFCバレイン下関(山口県代表)を11対2で下したことを勘案すれば、リーグ戦の立ち位置も悪くはないのかもしれないが、J1・18試合を戦って7勝8分3敗と勝ち星を思うように伸ばせないのは、やはり看過できない問題だろう。
6月19日の横浜F・マリノス戦は「勝負弱さ」という今季の課題を象徴したゲームと言っていい。この日の広島はキャプテン・佐々木翔が出場停止。現日本代表の川村拓夢、代表経験のある野津田岳人という両ボランチが海外移籍のためにチームを離脱してしまい、戦力的に厳しい状況に見舞われた。そこで指揮官は今季やや低調な満田誠をボランチでスタメン起用。松本泰志を並べ、佐々木の左DFに左ウイングバック(WB)を主戦場とする東俊希をスライド。空いたところに志知孝明を起用するという形でスタートした。
開始早々の2分に加藤陸次樹の一撃が飛び出し、1点をリードするという試合の入りは最高だった。そのペースを維持できればよかったが、横浜も徐々に本領を発揮。前半27分にはヤン・マテウスの個の打開力から同点に追い付かれてしまう。広島の左サイドが普段とは違う組み合わせということもあり、ヤン・マテウスのドリブルを止めきれず、強引な一撃を浴びることになったのだ。
それでも前半終了間際のアンデルソン・ロペスの決定機を代表守護神・大迫敬介が勇敢に阻止。前半を1-1で折り返したところまでは広島にとって悪くない流れだった。ここから大橋祐紀やピエロス・ソティリウらが追加点を取れる可能性は大いにあったからだ。