■夜空にはためいた「五星紅旗」
1986年10月5日には蚕室(チャムシル)の主競技場で閉会式が行われました。
当時、アジア大会では、閉会式前の最後の競技としてサッカーの決勝戦が行われることになっていました。その決勝戦では韓国がサウジアラビアに2対0で完勝し、スタジアムは大いに盛り上がりました(ちなみに、日本代表はネパールとバングラデシュには勝利したものの、イラン、クウェートに敗れてグループリーグ敗退に終わっていました)。
そして迎えた閉会式。そこで、長く敵対関係にあった中華人民共和国の国歌「義勇軍行進曲」が演奏され、国旗「五星紅旗」がソウルの夜空に掲揚されたのです。なぜなら、4年後のアジア大会の開催地が中国の北京だったからです。
僕は、まさに東アジアの国際政治の動きを象徴するような閉会式の目撃者となったのです。