「ポテンシャルの高い」選手が何人もいる水戸
71分のシーン。大分の左サイドからファーサイドにいた茂平に、ロングパスが送られる。茂はペナルティエリア内にヘディングで折り返した。
クロスを入れた際の蹴り方が右足のインスイングなので、ニアに低いボールを入れてヘディングで勝負させるのが本来の狙いだったろう。なぜなら、ゴールキーパーにとって守備するのがとても難しい角度になるからだ。茂がフリーでいるのを冷静に見て選択したのだろう。
茂がペナルティエリア内に返したボールに、大分の選手が頭で合わせるが、タイミングが合わずにゴールエリア内にボールが浮いてくる。
水戸の飯泉がヘディングでケアしようとしたが、ボールが相手に渡ってしまう。木本真翔が左足でダイレクトボレーを打つが、ゴールキーパーの松原修平にゴールの外に弾かれる。
再び飯泉がクリアしようとしたが、ジャンプのタイミングが早すぎてボールに力が伝わらない。ペナルティエリアの外にボールを出さなければならない場面だった。ジャンプして右から左に首を振っているのだが、これは逆で、左から右に首を振ってヘディングしなければボールは飛ばない。もしくは、首を振らないで真っ直ぐボールを当てて行ったほうがボールは飛んだはずだ。
水戸のスタメンを見れば、大学卒の若い選手が多く、ポテンシャルの高い選手が何人もいる。経験を積んでいけば、形になる選手たちである。しかし、プロのリーグ戦は、経験を積ませるだけの場所ではない。勝つか負けるのかの勝負がかかった場所なのだ。
そうした自覚を選手1人ひとりが持つことが浮上のきっかけにもなってくる。監督が代わってチームの流れも変わってきているのだから、次は、選手たちがプレーでゲームの流れを作り、常に主導権を握って試合を進められることを期待する。