■「フロンターレらしさ」とは
今回、竹内強化本部長にさまざまな話を聞いた。その中で頻出したのが、「フロンターレらしさ」や「フロンターレであること」といった、川崎フロンターレのアイデンティティを問うものだ。
“フロンターレらしさ”という言葉だけで多くの日本人サッカーファンにそれぞれのイメージが共有されるだろうが、それでも、それがどういったものなのか、ややディテールで異なる部分もあるかもしれない。
今回、竹内強化本部長にフロンターレらしさについて聞くと、「鬼木のサッカーもそうですけど」と前置きしたうえで、言葉を尽くす。機微に触れる部分もあるので詳細を書くのは憚られるため、その一部を紹介すると、「サッカーの本質を見極めて、人を見る・相手を見る、それで自分たちでこうやれるっていう技術が一番大事」と話したうえで、柔軟にかつ、相手を高度に見て戦わなければいけないからこそ、「そこをやれるような選手、サッカーIQが高いっていうんですかね、そういうような選手たちを育てることが(大事)」だという。
そして、そうした選手が育つことで、「多分どこに行っても、例えば海外に行ったとしても絶対通用すると思う。実際、そういう選手らが今海外で通用してるわけであって、そういうサッカーをフロンターレらしさだと思ってます」と話す。
このクラブから欧州に巣立った選手は多くいる。守田英正、三笘薫、田中碧、旗手怜央に加え、三好康児や板倉滉もいる。それぞれがヨーロッパで存在感を示し、そして、サッカー日本代表にも大きく貢献している。川崎フロンターレ、欧州の舞台、日本代表での試合と、それぞれ求められるものも戦い方も異なるが、それでも輝きを放っているのは、このクラブが“サッカーの本質”を追求しているからだ。
事実、他のクラブから川崎に移籍してきた選手は、こう話している。「鬼木監督の下でサッカーをやって、本質が問われていることに気が付いた。ここに来て、考え方が大きく進化した」と。