J2のジェフユナイテッド千葉が、第12節で勝利して8位へと浮上した。勝点3を引き寄せた苦労人の素晴らしいアシストが、ゴール以上に注目を集めている。
千葉のJ2暮らしは、優に10年を超える。前身は多くの名手を輩出した古河電工サッカー部で、名将イビチャ・オシムが率いた時代にはナビスコカップ(現ルヴァンカップ)優勝を果たしてJリーグの優勝争いも演じたが、それも遠い時代の話となった。
2009年にJ2降格が決まって以降、J1復帰に近づいた時期もあったが、2ケタ順位に沈むシーズンもあった。その空気が、昨季に変わった。
選手時代には知性あふれるプレーで10年以上にわたってJ1でプレーした小林慶行監督の下、レギュラーシーズンを6位で終了。準決勝で敗れたものの6年ぶりにプレーオフに進出し、J1復帰へと近づいた。
その小林監督が就任2年目となる今季、千葉は苦しみながらも前進を続けている。開幕戦を落とし、連敗をすることもあったが、前節終了時点で7位まで勝点3差の12位につけていた。
混戦のJ2で、千葉が暫定ながら8位へと浮上した。勝利を引き寄せたのは、クラブ同様に苦しい時間を経験してきたMFだ。
4月27日のベガルタ仙台との第12節、輝いたのは横山暁之だ。今季、藤枝MYFCから加わった27歳のMFである。
ジュニアユース時代から育成で名高い東京ヴェルディの下部組織でサッカーを学んだものの、トップチームには昇格できず、北陸大学へと進学。2019年に卒業したもののプロ入りはならず、浪人生活を送った苦労人だ。
藤枝に加入した2020年は、1試合もピッチに立つことができなかった。2年目もリーグ戦6試合の出場にとどまったが、2022年にリーグ戦31試合で13得点と藤枝のJ2昇格に貢献。昨季もJ2リーグ戦40試合で6得点という記録を残し、千葉に迎えられた。
東京VのOBらしい技術を見せたのは、1点リードで迎えた仙台戦の後半34分のことだった。ボール奪取から反撃に移った千葉で、パスを受けた横山はボールを前へと運ぶ。ペナルティーエリアの幅いっぱいの位置だったが、しっかりとピッチを俯瞰してラストパス。DF2人の間を抜けた絶妙のパスは、美しいカーブを描いてゴール前ファーサイドへと届き、最後は走り込んだドゥドゥが蹴り込んだ。