日本サッカー界の指導者ライセンス最上位はご存じの通り、JFA公認S級ライセンス。その保持者は2024年3月現在で568人にのぼる。J1~J3のクラブが60しかないことを考えると、トップクラブの監督として采配を振るうのは、非常に狭き門というしかない。
近年では、ベトナム1部・ハノイFCの岩政大樹監督、イ代表の石井正忠監督、シンガポール代表の小倉勉監督のように海外で指揮を執る人材も増えているが、プロ集団を統率できる指導者というのはほんの一握りということが分かるだろう。
その権利を得るべく、今月から始まった2024年度S級コーチ養成講習会に20人が参加している。阿部勇樹(浦和ユースコーチ)、永井雄一郎(KONOSU CITY FC監督)ら元日本代表経験者、人気解説者の林陵平(東京大学監督)らが名を連ねる中、やはり注目は日本代表のエースナンバー10を背負った中村俊輔(横浜FCコーチ)だろう。
ご存じの通り、2022年限りで長い現役生活にピリオドを打った彼は、2023年から指導者に転身。横浜FCのトップチームでコーチ修行をスタートさせている。1年目は遠征に赴かないサブ組の居残り練習などを担当。試合時は負けて落胆する選手に寄り添ったり、前向きになるような声掛けを意識しながら、自らやるべきことを積極的に探し続けた。「俊輔は本当に率先して動いてくれる」と四方田修平監督も貪欲な姿勢を高く評価していた。