2024年のJ1リーグが開幕し、第5節までが終了した。まだまだ先は読めないが、注目されるビッグクラブのひとつが浦和レッズだろう。そこで、ここまでの5試合で見えてきた浦和レッズの現在地、そして今後を、サッカージャーナリスト後藤健生がスクープ考察する。
■シーズン開幕前「優勝候補」に挙がった理由
今シーズンの開幕前、一部には浦和を優勝候補に挙げる人たちもいた。
根拠は、ペア・マティアス・ヘグモ監督と新加入の外国籍選手の存在だった。
ヘグモ監督はノルウェー人。母国ノルウェーやスウェーデンの数多くのクラブを率い、また年代別ノルウェー代表やノルウェー女子代表監督を務めた経歴を持つ。そして、女子代表として、2000年のシドニー・オリンピックで金メダルを獲得した。
その、“ヨーロッパの名将”がやって来たというのが「浦和レッズ推し」の大きな理由だった。
だが、ノルウェーとスウェーデンという同一文化を持つ地域から外に出たことがない指導者であり、日本という環境にどこまで適応できるのかという疑問もあったし、そこまで高く評価するほどの実績を持つとも思えなかった。
もちろん、浦和にフィットして素晴らしい実績を作り上げる可能性はあるものの、ほぼ未知数の指導者と考えるべきだったろう。
また、スウェーデン人のサミュエル・グスタフソンとノルウェー人のオラ・ソルバッケンという新加入選手に対する期待も大きかった。
ノルウェーのマリウス・ホイブラーテンやデンマークのアレクサンダー・ショルツも加わって、浦和は北欧勢が多数を占めている。国籍こそ別だが、北欧3国は同一文化圏であり、言語的にも互いの母国語だけで十分にコミュニケーションが可能だ。その点では、ノルウェー人指揮官の登場はチームにまとまりをもたらすかもしれない。
だが、グスタフソンもソルバッケンも、それぞれの国で代表経験がある程度の選手。スウェーデンやノルウェーは、ヨーロッパの中では中堅国であり、各国リーグも中堅クラスだ。いわゆる「5大リーグ」とは戦力面で大きな違いがあり、こうした中堅国のリーグはJ1リーグと同格と考えたほうがいい。そして、中堅国の代表も日本代表と同格だ(FIFAランキングでは日本の18位に対して、デンマークは21位、スウェーデンは26位、ノルウェーは46位)。
確かに、外国人選手の加入によって、高さとかプレー強度という日本人選手にはないものが加わることは期待できる。だが、中堅国の「代表経験がある」程度の選手が加入することで、一気にチーム力が上がることを期待するのは無理なことだろう(約30年前にJリーグが開幕したころなら、ヨーロッパの現役の代表クラスなら決定的な存在となれただろうが)。
実際、グスタフソンは別格扱いというほど重要な役割を任されているものの、ソルバッケンは浦和加入以降、これまで出場機会を獲得できていないし、「6月退団」という情報も飛び交っている。