■理想的でなくとも求められる姿勢
1−0とリードした後にも鹿島にチャンスがなかったわけではない。もちろん、そこで決め切ることができれば理想的だが、そうでなくても後ろ向きにならずに、矢印を前に向けて行かないと、追いかける相手側にリズムを持って行かれて、セカンドボールも相手側に拾われて二次攻撃、三次攻撃から危険な状況になってしまう。
ディフェンスの選手としては1−0でも勝てる守備というのは心がけながらも、チームには追加点を取り切る姿勢を要求していく。そうしたマインドはランコ・ポポヴィッチ監督の方向性にも一致するところであり、植田が強調することは鹿島が2018年のACL優勝以来のタイトル、さらに言えば2ステージ制だった2015シーズン以来のリーグ優勝を目指すための指標になってくるだろう。
ここまで5試合で勝ち点10、首位の町田から勝ち点3差の4位という成績自体は監督が1年目のチームとしては悪くないが、ここから連戦で、どんどん厳しい戦いになっていく中で、鹿島が上位をキープして優勝争いに加わり続けて、最終的に一番上に立っているために「1−0でも勝ち切る」「追加点を奪い切る」という二つの指標を並行させていくというのはチームが共有しやすい基準と言える。
(取材・文/河治良幸)