傘下にしたクラブの地元の人々もファンに

 5大リーグのドイツやスペイン、そして、5大リーグではないですが、有望な若手が多いベルギーなどから選手を獲得しているわけだから、そこのリーグのクラブを1つ買ってしまえと。買ったクラブを一つのグループとして、その傘下に収めてしまえば、クラブ間での移籍金の高騰や、リスクなどを軽減できるといった考えですね。これがマルチ・クラブ・オーナーシップだと私は理解しています。

 もちろん、経営の合理化だけでなく、データの精緻化、または効率化という面にも寄与していきますから、そこに魅力を感じて、逆にグループ傘下に入りたがるクラブも増えていますよね。
 一番有名な例として、マンチェスターシティのシティ・フットボール・グループがありますが、どんどん傘下が増えていくと、あるときに気づくわけです。傘下にしたクラブの地元の人々も、マンチェスターシティのファンになってくれると。

 そうなると、マンチェスターシティというブランドを応援する人が増えていって、試合の放映権やチケット代だけでなく、新たな収入源を作ることができる。これはフットボールの質や強さというよりは、ビジネス的な側面ですが、このブランドの価値を作りだすことが、マルチ・クラブ・オーナーシップによって可能になることのひとつで、ACAがまさしくやりたいサイクルなんです。

小野寛幸(おの・ひろゆき) ACAフットボール・パートナーズ CEO。慶應義塾大学卒業後に、大和証券エスエムビーシー株式会社(現:大和証券株式会社)に入社し、M&Aや資本調達アドバイザリー業務に従事。米系投資銀行を経て2011年ACA株式会社入社。
 現在はマルチ・クラブ・オーナーシップを核としたフットボールビジネスを新設、資金調達や事業構築を担当する。

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