■VAR導入に続いて「待たれる」第4審判

 サッカーという競技は、ルールに関して非常に保守的な競技だ。

 そのため、他の多くの競技でビデオ判定が導入された後も、頑なに判定のために映像を利用することを拒み続けていたが、2010年代になってようやくVARが導入された(導入されたと思ったら、たちまち過剰介入が問題になるようになったが……)。

 ラグビーやフットサルなど、サッカーに近い競技についてご説明したが、試合時間の管理に関しても、サッカーはあらゆる競技の中で最も保守的なようである。今時、時間の管理が主審の裁量にこれほど大きく任されている競技は他にないだろう(大相撲の仕切り制限時間は取り組みの進行によって、打ち出しがNHKの中継終了時刻の18時に近くなるように、時計係の審判が適当に裁量することになっているが)。

 サッカーの主審には多くの任務が与えられている。しかも、ピッチ上を時速10キロ以上の高速で走りながら判定を行うなど、主審の負担は非常に大きい。その意味でも、時間の管理は第4審判またはタイムキーパーに任せるべきだし、そのときにはラグビーやフットサルのように場内の時計も連動させるべきだろう。

 もちろん、下部リーグではタイムキーパーは置けない。しかし、トップリーグや国際試合と下部リーグで運営の仕方が違うのはいたしかたないところだ(現在でも、J2リーグ以下のリーグはVARなしで行われている)。

 そして、終了のホイッスルを吹くタイミングについても明文化したルールを設けるべきだろう。ベリンガム事件は、そのことを訴えているのではないだろうか?

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