三笘薫「1ミリ判定」に続いて求められる「ラグビー時間」【移籍金154億円ベリンガム事件で浮上した「サッカー・ルール」の落とし穴】(3)の画像
三笘薫の1ミリはVAR判定なくしては認められなかった。撮影/渡辺航滋(Sony α‐1)

  昨年8月、154億円の移籍金でレアル・マドリードに移籍した、イングランド代表のジュード・ベリンガム。20歳のスーパースターへの処分が今、大きな話題になっている。試合終了間際のゴール取り消しをめぐるものだが、サッカージャーナリスト後藤健生は、その根底にある「アディショナルタイム問題」を指摘する。サッカーのルールは、どうあるべきなのか。

■厳密な「オフサイド」と曖昧な「距離」と「時間」

 VARが導入されるようになって、サッカーのある部分では非常に厳密に判定が行われるようになった。

 ゴールライン・テクノロジーによってボールがゴールラインを完全に超えたか否かが電子的に判定されるようになったし、VARの映像によって三笘薫の折り返しが「1ミリ」ゴールラインにかかっていたことも映像で明らかになった。

 また、オフサイドに関しては赤や青の3Dラインが引かれて、ほんの数センチ腕の一部がラインから出ていたかどうかが(長い時間をかけて)厳密に判定されるようになっている。

 だが、たとえば、FKの際の壁までの距離は主審が決めており、時には明らかに壁の位置が近い(あるいは遠い)場合も見かけられる。

 そして、時間の管理もかなり曖昧なままなのである。

 オフサイドの判定にあれだけ時間をかけて、ほんの数センチを見極めようとするなら、アディショナルタイムの取り方についても、もっと厳密化すべきなのではないだろうか? それができるようになれば、ベリンガム事件のようなことも起こらなくなる。

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