サッカーのアジアカップが終了した。日本代表は8強で敗れ、大会を制したのは開催地のカタール代表だった。今大会は強豪国が相次いで敗れるなど、ピッチ上での勢力図に変動が起きた。また、ピッチ外でも、さまざまな変化が起こっている。今後、日本代表はアジアカップといかに付き合っていくべきか、また、ワールドカップ出場するために必要なものは何か? サッカージャーナリスト後藤健生がアジアカップを分析し、今後の日本が歩むべき方向を指し示す。
■FIFAランク87位が躍進!「下剋上」の大会
カタールで開催されていたアジアカップは、開催国カタールが史上5か国目となる大会連覇を達成して終了した。
「FIFAランキング17位」とアジア最高だった日本代表は準々決勝でイラン代表に敗れた。イランは同ランキングで21位の強豪だったから、この結果自体は驚きではなかったが、そのイランも準決勝で58位のカタールに敗れてしまう。
一方、ランキング上位国が入った「死の山」からは驚異の粘りを見せたランキング23位の韓国が勝ち上がってきたが、準決勝で同87位のヨルダンに敗れ去ってしまった。
そして、決勝戦ではPK3本によってカタールがヨルダンを突き放したが、ボールを握っていたのはむしろヨルダンだった。
ヨルダンは産油国ではないので、財政的にそれほど豊かな国ではない。いや、それどころかヨルダン川を挟んでパレスチナに隣接しているため、1948年にパレスチナの地にイスラエルが建国されて以来、多くのパレスチナ難民を受け入れている。中東では最も政情が安定した国だ。
昨年10月にガザ地区を巡る紛争が起き、パレスチナ情勢も緊迫化しているが、そんな中でヨルダン代表が健闘したことは大いに称えたい。
いずれにしても、カタール・アジアカップは「下剋上の大会」として記憶されることだろう。
もちろん、FIFAランキングというのは過去数年にわたるポイントを積算したものであって、その時点でのチーム力を表すものではない。また、サッカーというのは、その性質上、番狂わせの起こりやすいスポーツであることなど、今さら言うまでもない。
だが、それでもやはり、強豪国が相次いで敗れたのは大きな驚きだった。
果たして、アジアの勢力図は大きく変わりつつあるのだろうか?