■山口蛍「チームの戦術の幅も広がると思います」
それは代表でもコンビを組んでいた山口も太鼓判を押す部分である。
「陽介はここまでキャンプ通じてやってきた中で、神戸のテンポにまだ慣れていない気がする。でも彼は海外でも代表でもやっているし、経験があるから、本番までには連携面含めてうまくやってくれると思います」と背番号96をつけるキャプテンは期待を寄せる。
井手口加入でさまざまな中盤の組み合わせや形が可能になるのもメリットだろう。
「今までだったら、中盤で僕が前に取りに行っていたところで、もう1人、陽介がいるということになるので、すごく大きいですよね。陽介がIHに入れば、アンカーの自分はセンターバック2枚と残ってリスク管理もできるからサイドバックも高い位置を取りやすい。それは昨年なかった形。チームの戦術の幅も広がると思います。
自分がIHに入って、陽介がアンカーに入ることもできるだろうし、2ボランチでもやれる。ホントにいろんな組み合わせが考えられるんで楽しみですね」と山口は嬉しそうに語っていたが、彼のような新たな活力があってこそ、神戸はさらなる進化を遂げられるのだ。
中盤の構成が変化することによって、大迫を起点としたタテの推進力に偏りがちだった攻撃に多様性が生まれ、異なる得点パターンが生まれれば理想的。井手口という重要なコマをうまく使いこなせるか否か。それが2024年の神戸のキーポイントと見ていいだろう。
(取材・文/元川悦子)