■攻撃時はダブルボランチ、守備時はアンカー+2IH
山あり谷ありのキャリアを過ごしてきた男だが、大迫勇也、山口蛍、酒井高徳らは代表時代からよく知る面々。神戸への環境適応はスムーズだと見られた。実際、この日も後半15分から扇原貴宏と代わって中盤に入ったが、機を見て前線に飛び出すプレーなど披露。チームに新たなエッセンスをもたらしそうな予感を与えたのだ。
「自分はまだまだチームの戦術理解度を深めていかないといけない。まだまだ全然ダメだったと思います」と本人は厳しい自己評価を下したが、それはシンプルなダブルボランチではない神戸の中盤のメカニズムによるものだという。
福岡はシンプルな2枚のボランチでやっているため、スッと入りこめたようだが、神戸の場合は守備時はダブルボランチ、攻撃時は1アンカーと2インサイドハーフ(IH)になるため、その都度、立ち位置が細かく変化する。2022年に横浜F・マリノスから神戸に赴いた扇原貴宏も「自分も適応するまでには時間がかかった」と話していたが、同じような壁に井手口もぶつかっている様子だ。
「僕個人としては『こういう時はどこにいたらいいんだろう』って考えちゃう部分がある。それを考えずに、体が先に動けるようになるぐらいまでやらないといけない」と本人もオートマチックに動けていない現状を吐露していたが、それができるようになれば、もっともっと彼のダイナミックさを発揮できるはずだ。