サッカー日本代表のアジアカップが幕を閉じた。準々決勝でのイラン戦は、終了間際にPKを決められるショッキングな逆転負けだった。だが、そこに至るまでの内容、大会を通しての戦い方は、どう評価され、今後に活かされるべきなのか。アジアカップ8強が持つ意味を、ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が語り合った。
■韓国の本気度
――選手の本気度という話がありましたが、韓国はパリ・サンジェルマンのイ・ガンインやトットナムのソン・フンミン、バイエルンのキム・ミンジェといったスター選手も必死にプレーしていましたね。
後藤「今回はそうなんだよね。1960年の第2回大会まで連覇した後、韓国はアジアカップではダメだったんだよ。今回はなぜか分からないけど、スイッチが入った。理由を知りたいな」
大住「イ・ガンインがすごいと思ったのは、本当によく走るし、よく戦うこと。マイボールにできるか五分五分、あるは四分の確率のパスを出されても追いかけるし、体をぶつけていく」
後藤「オーストラリアとの準々決勝では、キム・ミンジェもソン・フンミンも本気だったよね」
大住「元チームメイトということで、久保建英はよくイ・ガンインと比較されるけど、久保が試合の終盤、あるいは延長戦に、これだけ走れるかな、と思うほどだった。もちろん日本の選手も、守備を含めてよくやっていたけど、イ・ガンインの走り方は、プロが代表チームで求められるものを、もうひとつ超えているんだよね。日本の選手は今後、あの勝つためにという気持ちをどこまで表現できるのかなと思った。準々決勝では、残り0分の場面でPKを取られたから仕方ないけど、1-1のままずっと時間が過ぎている間、日本の攻めるという気持ちが見えなかったからなあ」
後藤「後半の途中から、ただ跳ね返すだけで精いっぱいだったからね」
大住「冨安健洋はよく跳ね返していたし、ヘディングしたボールを仲間に渡して、攻撃につなげようとしていた。細かいことだけど、そういうプレーも日本には必要だと思う」
後藤「冨安が戦っているプレミアリーグは、そういうプレーができないと使ってもらえないからね」