■アジアカップへの本気度
大住「キャプテンの遠藤航や久保建英、堂安律はもちろん、大半の選手がヨーロッパのシーズンの真っただ中なので、そういう選手たちがちょっと後ろ髪を引かれているというか、ケガをしたくないという感じがあった。イランにしても韓国にしても、こういう大会を勝ち上がっていくチームというのは、身も心も捧げ尽くして、ナショナルチームのために戦っている。負けても納得できたり、頑張ったけど不運だったと思える大会もあるけれど、今回はちょっとそうではなかったなという感じはするね」
後藤「原因は何であるにせよ、日本チームがダメだった。そういう大会だよ。本気でやれば絶対に優勝できるのかという話は、別問題として」
大住「でも、たとえば去年のドイツ戦は単なる親善試合だったけど、日本は本気で臨んだと思うんだよ」
後藤「そう。今の選手は、そっちのほうに真剣になるわけだよ。ふだんからヨーロッパで戦っている選手たちは、アジアカップ優勝について、どう思っているのかな。日本は昔から、ムルデカ大会(マレーシアで開催される国際サッカートーナメント大会)にはBチームを、ヨーロッパ遠征にはAチームを送るとか言われていた。韓国はヨーロッパ遠征よりもムルデカ大会やキングスカップ(タイで開催される国際大会)と、とにかくアジアの大会で本気で戦っての強化を目指していたわけだよ。50年も前の話だけど、それと同じことを感じたな」
大住「イランも日本も中2日で準々決勝に臨んだけど、イランのほうがラウンド16の開始が数時間遅くて、しかも延長戦の末にPK戦にもつれ込んでいて、コンディションはイランのほうが厳しい状況だったんだよね。だけど、そういう状況でのあのイランの精神力を、日本のサッカー界はこれからも絶対に忘れちゃいけないと思うよ」