■人権保護への進化

 さて、1世紀近くも続けられた「ハーフタイム5分間ルール」だったが、それが定められて間もなく、1905年にはルールの「公式決定事項」として重要な一文が加えられている。「競技者はハーフタイムにインターバルを取る権利がある」というものである。役員や審判員が「時間がないので、ハーフタイムの休憩はなしにしよう」ということはできないのである。

 現行のルール(2023/24版)でも、第7条の第2項に、「競技者には、15分間を超えない範囲でハーフタイムのインターバルを取る権利がある」と、明記されている。知らない人が多いかもしれないが、サッカーのルールのなかで「権利があるentitled to」という表現で選手の「人権」を保護しているのはここだけで、私は、とても美しい条文だと思っている。

 さらに、2017年には、延長戦のハーフタイムにも、「水分補給の時間を取ることが認められる」と認められた。伝統的に、延長戦では、ハーフタイムになると選手たちはエンドを入れ替えてそのままプレーを続けなければならなかった。しかし近年ではベンチ前まで戻って給水してから逆のエンドでポジションにつくケースが多く、それを追認した形である。翌2018年には、「短時間(1分間を超えてはならない)の水分補給時間を取ることが認められる」と具体的に時間まで示されたことで、その「権利」は、いっそうはっきりとした。

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