2023年、日本サッカー界は成長を続けた。ドイツ、スペインを撃破した2022年のカタール・ワールドカップに続き、アウェイの地でリベンジに燃えるドイツを返り討ちにするなど、世界を驚かせ続けた。その成長は、2024年も続くのか。日本サッカー界の成長への期待と、そのために必要なポイントについて、ベテランサッカージャーナリストの大住良之と後藤健生が、年をまたいで燃え盛る激論を交わした。
■現代の監督像
――日本代表は成長しているとのことですが、率いる森保一監督をどうみますか。
大住「変わってきたと感じる。自信にあふれているよね。ひたすら真面目に、きちんと立てた計画を実行する指導者だったけど、最近は自信を持った上で、そういう緻密な仕事をこなしている。監督としてワンランク上がったような感じがする」
後藤「2018年に日本代表監督に就いた直後はメンバーを固定していて、何とかアジアカップで結果を出さないといけない、という意識がうかがえた。今はもっと先、2026年のワールドカップまで見据えながらチームをつくっている感じがするよね。選手の意見をどんどん取り入れるようになったのも、変化した部分なのかなという気はしますね」
大住「現代サッカーの監督は、オレについてこいという指揮官タイプではなく、コーチングスタッフやサポートスタッフといった携わる全員の力をフルに発揮させて、チームとして一番良い結果を出すという管理職みたいない仕事になりつつあると思うんだよね。もともと他人の意見をよく聞くというタイプではあったけど、森保監督はそういう面でヨーロッパのトップクラスのコーチの基準に達しつつあるんじゃないかなと思う。ヨーロッパにもいろいろな人がいるけど、やはり多くの人がスタッフを活かすのがうまくて、信頼して意見を取り入れて、最後は自分で決断を下して仕事をしていると思う。森保監督もそういう面が強くなってきたと、この1年の仕事ぶりを見ていて思いました」