2023年、日本サッカー界は成長を続けた。ドイツ、スペインを撃破した2022年のカタール・ワールドカップに続き、アウェイの地でリベンジに燃えるドイツを返り討ちにするなど、世界を驚かせ続けた。その成長は、2024年も続くのか。日本サッカー界の成長への期待と、そのために必要なポイントについて、ベテランサッカージャーナリストの大住良之と後藤健生が、年をまたいで燃え盛る激論を交わした。
■ドイツ戦の勝利で壁を越えた!
――昨年末はカタール・ワールドカップの余韻が強く残っていましたが、あのフィーバーに続く1年間、日本サッカー界を取り巻く空気は変わりましたか。
大住「去年のワールドカップでは奇跡みたいな試合が2つあって、皆が“何だか楽しかったな”という感じになったけど、今年はどうなるのかな、もっと厳しい状況になることもあるんじゃないかと考えたけど、まずは森保一監督が続行することになったのは良かったなとは思ったね」
後藤「去年の今ごろはドイツとスペインに勝って騒いでいたけど、今さらドイツに勝っても誰も騒がない時代になってしまったんだな、と驚くよ。強くなりすぎて、アジアカップで優勝しても“ふうん”というくらいだろうから、やっている人たちは大変だね。すごい時代になってきましたね。次はドイツに負けたら怒る人がたくさん出てきそうで怖いよね」
――2023年の大きなトピックと言えば何になりますか。
大住「やはり、ドイツに勝ったことだと思う。ドイツの出来があまりにひどかったから、試合としては白ける面もあったけど、長い目で見ると歴史の転換点になるのかもしれない、って最近思うようになってきた。なんていうのかな、ドイツに勝ったことで選手たちの内面が変わってきた感じがするんだよね。代表選手だけじゃなくて、あらゆる人たちがひとつの壁を乗り越えたというか、強国に対するコンプレックスを払拭するだけの影響を持つ試合だったという感じがする」