大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第127回「小さくても、大きな意味をもっているはずのもの」(3)チームのキャプテンに求めたい「作法」の画像
写真撮影時の正しい作法とは 撮影:中地拓也

サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは、「一瞬のリスペクト」。

■起源を探る

 さて、残った疑問は、誰がいつ始めたのかということである。歴代ワールドカップの写真をたどっていくと、戦前の3大会(1930年ウルグアイ、1934年イタリア、1938年フランス)では、試合前のセレモニーでペナントの交換は行われていない。ワールドカップで初めて試合前の「ペナント交換」が認められるのは、1950年のブラジル大会である。そして1954年スイス大会では、全試合でペナント交換が行われている。一方、1948年のロンドン・オリンピックではペナント交換はなく、握手だけで試合がセレモニーが終わっている。

 とすると、「ペナント交換」が一般化したのは、第二次世界大戦後、しかも1948年ロンドン・オリンピックと1950年ブラジル・ワールドカップの間であると推測できる。そしてブラジル大会が契機ということは、この習慣が「南米で始まった」という説を強く後押しするものではないか。だが、それ以上の詳細はまったくわからない。

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