■「どれだけ勝ちたいか」の気持ちの重要性

 ピッチ上の選手が話し合う重要性は、麻生だけでなくカタールの地でも口にしていた。森保ジャパンがコスタリカ代表に負けた直後、後がないスペイン戦を前にして、「(代表の)スタッフ陣からこういう風にしていくっていうしっかりとした方向性があって、そこに対して、グラウンドに出た時に“ここはこうだ”っていう選手の中で意見が出る。近くの選手と“こういうタイミングでは、こうしよう”とかっていうものが。判断するのはもちろん監督ですが、ボードでやるのと、グラウンドに出てでは違うものも出てくる。距離感とか、選手の特徴とかを意識するとまた違うことが起きてくるので、その都度やっぱり話し合いを重ねてやっています」と言うのだ。

 監督が決めたものをピッチ上で具現化するために当該選手が話し合う。そうすることで、戦術が実際的に生きてくる――。

 だからこと言語化することが大事であり、発することが重要だというが、今年11月の時点で、それはキャリアや年齢に関係なく、勝利を目指すために全員が意識すべきだとする。

「正直、これに関してはキャリアはまったく関係なくて、どれだけ勝ちたいかとか、その表現の仕方は選手それぞれですけど、ちょっとそこは足りないなと思ってます。別に1年目の選手だろうが、言ったら2種登録の選手でも、出すべきところは出さなきゃいけない。

 静かでもクオリティを持って自分たちの信念を貫いて、圧倒的な力を見せて勝っていけるチームだって結果を出せればいいですけど、現状そうではない中で、そういう行動を起こしていくとか、自分の中で何かを変えていくっていうのは、今はもう本当にやらなきゃいけないと思う。

 そこまで圧倒できる試合はほとんどなくなっているので、そういう勝負のこだわりが必要だと思います。キャリア云々じゃなくて、そう思う選手がやるべき」

(取材・文/中地拓也)

(後編へ続く)

(3)へ続く
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