■東京VのMF陣をどのように抑えるか

 2012年から17年まで開催されたJ1昇格プレーオフと、18年、19年、22年に開催されたJ1参入プレーオフの決勝戦を振り返ると、1対0と1対1が3試合ずつ、0対0が1試合、2対0が2試合となっている。一方的な試合や打ち合いは考えにくく、「超攻撃的」を貫いてきた清水も、東京Vの強みを確実に消していかなかればならない。

 ディフェンス面でキーマンにあげたいのは、右MFでの出場を予想する中山だ。

 東京Vは左MF齋藤功佑が、攻撃のキーマンとなっている。2トップの一角で起用されることもある彼は、立ち位置を変えながらチームのパスワークを成立させていく存在だ。プレーオフ準決勝と同じ起用なら左MFとなり、清水の右サイドの選手がマッチアップする。右MF中山は守備時にプレスバックをしながら、攻撃時は高い位置を取ることで齋藤を守備に引っ張りたい。

 中山だけでなく乾とカルリーニョス・ジュニオ、さらにはホナウドと白崎凌兵のダブルボランチも、守備面での仕事を求められる。

 東京Vの攻撃は、その多くがボランチ森田晃樹を起点とする。ボールキープ力の高い相手チームのキャプテンを、2列目の選手とダブルボランチで挟み込むような対応が理想だ。右MFのポジションから決定的な仕事をしてくる中原輝に対しては、左SB山原とボランチのダブルチームでの対応も用意しておきたい。

 さらには、GKがどうなるか。山形戦はGK権田修一がメンバー外だった。代わって出場したGK大久保択生は、好守連発で決勝進出に貢献した。

 リーグ戦全42試合にフルタイム出場した権田が復帰すれば、守備の安定感は高まる。一方で、大久保も経験は豊富だ。準決勝に続いて大久保が出場することになっても、守備に不安はない。

 リーグ戦での東京V戦は、シーズンダブルを達成している。

 4月8日のホームゲームは、秋葉監督のリーグ戦初陣だった。開始早々にショートコーナーから失点したが、前半アディショナルタイムにDF北爪健吾が同点弾を蹴り込み、90分に途中出場のFWオ・セフンが左CKからヘディングシュートを叩き込んだ。

 8月6日のアウェイゲームは、1対0で勝利した。期限付き移籍から復帰したFW鈴木唯人が、技巧的なシュートで決勝点を奪った。この試合は内容への満足度が低かったものの、連勝を飾っているのは清水の支えとなるだろう。

 12月2日14時05分、決戦の幕があがる。

【その(2)へ】
(2)へ続く
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