■「勝ち切れるか、勝ち切れないかの積み重ね」
そして、アディショナルタイム6分が掲示される中、90+1分にFWホセ・カンテが同点弾を撃ち込み試合を振り出しに戻す。残り時間が着々と進む中、浦和が敵陣でフリーキックを獲得。GK西川周作もゴール前に上がるが、入れ替わるように前川がキャッチし正確なパントキックで攻め残っていたFW大迫勇也につながれ、無人のゴールへとロングシュートを打った。
その瞬間、大久保は猛ダッシュで数m先を転がるボールを懸命に追ったが間に合わず、ゴールネットが揺れると同時にピッチに崩れ落ちた。どうあがいても追いつかないことは分かっていても「最後まで追っていましたが倒れてしまった。まだ終わっていなかったので倒れるべきではなかったと思います」と悔しげに語った。
残り2戦で、首位・神戸との勝点は11差、2位の横浜F・マリノスとは9差となりリーグタイトルの夢は消えた。大久保は首位チームとの差を「戦うとより分かるというか本当に首位との差はないと思います。ただちょっとしたところで勝ち切れるか、勝ち切れないかの積み重ねがリーグ戦だと思うので、来季に向けて糧にしたい」とコメント。
そして「優勝がなくなり、2週間後に(アビスパ)福岡と試合がある。こういう時に“もういいや”となる選手もいると思いますが、振る舞いが問われる。あと2試合どういう形で終わるかで来年につながってくると思うので一度休んでリフレッシュして、次に勝つことで良い休みになると思っています」と続けた。
勝負の綾は紙一重で残酷なもの。それでもチームはめげることなく練度を高め勝利を求めていく。
(文・構成/石田達也)