■ロシアの「フルスクリーン」
しかし、僕はそれと似た「フルスクリーン」のホームドアを見たことがあります。ロシア第2の都市、サンクトペテルブルクの地下鉄でした。
大阪駅の21番線はフルスクリーンであっても、ガラス製なので電車の車体を触ることはできませんが、車体を見ることはできます。
しかし、サンクトペテルブルクの地下鉄のホームドアは、電車がまったく見えないのです。ホームに下りていくと、そこには真っ黒な壁があるだけのように見えます。よく見ると、たしかにドアが付いています。
電車がやって来ると、「ゴーッ」という音は聞こえますが、電車の姿はまったく見えません。電車がスピードを落として、停車したことも音で分かるだけです。
すると、真っ黒な壁についたドアが開いて、乗り降りができるようになるのです。
モスクワの地下鉄は運行間隔が短い、素晴らしい乗り物でしたが、ホームドア的なものはなかったように記憶しています。目の前を、旧式の鋼鉄製の重そうな車体が轟音をたてて走る姿に強烈な印象を持ちました。
ですから、サンクトペテルブルクの地下鉄に初めて乗った時の驚きも倍増だったわけです。