■最大のメリット

 サッカーのルーツは中世のイングランドやスコットランドで行われていた、いわゆる「モッブ・フットボール」だ。村や町を2つのチームに分けてボールを相手陣内のゴールに持ち込むという「遊び」(または「祭り」)のこと。明確なルールもなく、かなり乱暴な遊びであり、ケガ人が出るのは当たり前。時には死亡事故も起きていた。

 この「モッブ・フットボール」が、後に学校の授業に取り入れられてルールが明文化され、さらに1863年12月にはロンドン市内のクラブが話し合って協会(ザ・フットボール・アソシエーション=FA)を結成し、統一ルールを制定した。それが、サッカー(協会式フットボール)の起源だった。

「モッブ・フットボール」はキリスト教の祭日に合わせて行われており、ほとんどの地域で2月前後の冬場に行われていた。

 そして、ルールが明文化されて近代スポーツになった後も、フットボールは(サッカーも、ラグビーも)冬のスポーツと見なされていた。19世紀のイングランドでは「夏はクリケット、冬はフットボール」というようにシーズン制は明確だった。

 その後、プロ化したこともあって(試合数を増やして収入を確保するために)シーズンは長期化されていった。こうして、ヨーロッパでは冬を中心とした秋春制が確立したのだ。

 ヨーロッパの冬は寒さが厳しく、夏は日本の夏よりずっと過ごしやすいので、ヨーロッパには「春秋制への移行」を主張する人もいるが、伝統が今でも守られているのである。

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