■「自分の調子がいい時のバロメータ」と語る部分

 ただ、どういう形で、誰と組んで出るにしても大事なところで必ずゴール前に顔を出すという”南野流”に変わりはない。実際にチームで4得点をあげたカナダ戦では全てのゴールシーンでボックス内に参加していた。浅野の左からのクロスがオウンゴールを誘ったシーンでも、走り込む南野の足がわずかに届かず、結果的に反対側からカバーに来たアルフォンソ・デイヴィスが押し込む形になった。

「やっぱりゴール前にいい形でいるというのは、自分の調子がいい時のバロメータというか。ゴールに絡めている時というのはやっぱり、ゴールの近くでプレーできている。

 それを自分だけじゃなくてチームが出している状況とかで、ボールを持ってきてくれるからこそというのはあるんですけど。それは続けていきたいなと思いますし、その上でやっぱり結果にはこだわったプレーをしたいです」

 今シーズンのモナコではザルツブルク時代の南野をよく知るアドルフ・ヒュッター監督のもと、3ー4ー2ー1の右シャドーで起用されて、ここまで3得点3アシストを挙げている南野。8月のリーグアンMVPにも輝いた。

 代表に合流する前は、個人の結果という意味では勢いが失われていたが、調子が落ちていないことは代表活動でも感じられた。何より精神的に落ち着きがあり、本人がいうハングリーでギラギラした気持ちの中でも、肩の力が抜けていることが、改めて南野拓実という選手の価値を示すことにもつながったようだ。

(取材・文/河治良幸)

(後編へ続く)

(2)へ続く
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