■監督の機嫌が悪ければ――
そのカギについて鬼木監督は、前日会見で「切り替え」という言葉を使って以下のように説明していた。
「新潟戦で本当に悔しい敗戦をしました。ただ、そこから切り替えることが一番重要だと思ってましたし、自分はもうすでに切り替えているという話を選手にしました」
「こういうゲームはメンタルが重要だと思ってますので、明日、全員でそれを前面に出して戦いたい」
その切り替えについて、筆者は10月1日に鬼木監督に話を聞いていた。というのも、完敗ともいえる新潟戦の翌日の練習に、指揮官は笑顔で挑んでいたことによる。
試合中こそ鬼気迫る表情を見せるが、練習では柔和な顔を見せることが多い鬼木監督。とはいえ、完敗した翌日だけにピリっとした雰囲気をまとうのではないかと思っていただけに、意外な思いがした。
しかし、それはやや浅はかだった。鬼木監督の中では、切り替えることこそがチームマネジメントのために重要だという考えがある。
「たとえば自分が今日ずっと不機嫌そうにしていれば、選手も笑っちゃいけないのかなと思ってしまう。そういうふうにしたいわけでもないし、かといってゆるくしたいわけでもない。でも次に進むためには必要なこと」
監督の機嫌が悪ければ、チームの雰囲気が悪くなる――鬼木監督はそう考えているからこそ、笑顔でいたのだ。