■「基礎技術がないと、何も積み重ねられない」

――今回のインタビューで、三笘選手の武器に、視野の広さと、ファーストタッチの正確さを上げていました。三笘選手の著書『VISION』の中では、それらを得るための基礎技術として“止める・蹴る”という考え方を挙げています。

 城さんが考える、フォワードに必要な技術、または、自分が現役だった時に大切にしていた技術や、次世代のフォワードに求める技術があれば、教えてください。

「同じく、ボールを止める・蹴る。この基礎技術がないと、何も積み重ねられないんですよ。僕は、これまでいろんなタイプの選手を見てきました。中には、足先でボールを動かしながら、ポンポンって軽やかに相手を交わしていく選手もいて、上手だなと思ったりもするんですが、そういうタイプの選手って長く持たないんですよね。せいぜい、1年、2年の活躍で終わっちゃう。
 『VISION』に書かれているように、止める技術、そして正確にパスを出す技術が大切で、それがしっかりしている選手は長続きします。その良い例が、遠藤保仁選手で、彼は40歳を超えてもボールコントロールの技術は衰えていない。だから、いまだに高いレベルでプレーができているんです。

 なので、自分の思ったとこに止められる、自分が思ったところに蹴られる。その技術を習得するための練習を積み重ねないとダメだと思います。それも、ハイプレッシャーの中で。相手の圧がないフリーな状況で、ボールの扱いがうまくても意味がないですからね。そういうタイプの選手って、日本人に多いんですよね」

――すると、プレッシャーの中で技術を磨くには、実戦を重ねるしかない?

「もちろんそうですし、練習も試合に近い意識でやる必要があります。

 海外に所属している日本人選手って、海外選手の足の長さだったり、独特な間の取り方とか、当たりの強さとかを練習でも感じられるんですよ。だから、トップレベルのチームに所属して、そこの練習に参加するのはとても重要。そこらへんで、国内組と海外組の成長に差が出ている部分があると思います」

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