■「すごかったのは、左サイドでボールを受けたときのファーストタッチ」
――三笘選手は著書『VISION 夢を叶える逆算思考』でプレミア仕様でドリブルを進化させた〝新技術論〟について語っていますが、ドリブル突破の力が、より洗練されているんですね。
「もちろんそうですが、実は、もうひとつすごかったのは、左サイドでボールを受けたときのファーストタッチです。相手との駆け引きの中で、どこでボールをコントロールして、どこで仕掛けるか。三笘選手はそこを意識しているだろうし、それが洗練されていて、試合でもしっかり実践できている。ここらへんが、やっぱり並外れてるというか、プレミアリーグでも屈指のウィンガーではないかなと思います」
――先ほどのゴールの話で、DFに寄せられても減速しなかった点を挙げていましたが、昨シーズンに比べてフィジカル面での進化もあったのでは?
「うーん、体が大きくなった様子は見られませんし、体格が変わったのではなく、プレミアリーグの選手たちとのマッチアップを重ねたことで、どれくらいの強さで寄せて来るとか、そういった感覚をつかんだというか、慣れたという部分があるとは思います。
フィジカル面でいうと、僕は、三笘選手の柔軟性に目が行きますね。トップスピードでドリブルをしているときに、相手が激しくぶつかって来ても、跳ね返すのではなくて、うまく力を吸収して自分のものにしている感じがします。昨シーズンは激しく来られて倒れる場面がありましたが、今シーズンは上手に吸収している。そういった体の使い方は、進化しているんじゃないでしょうか」
――対ウルバーハンプトン戦では、後半1分に、三笘選手は、DFのペルビス・エストゥピニャン選手の追加点をアシストしました。それについては?
「昨シーズンと比べて進化しているのが、以前よりも周りをうまく使えるようになった点です。アシストのシーンも、エストゥピニャン選手が中に入ってるなというのを感じながら、どこにボールを持っていって、どこにパスが出せるかしっかり考えながらプレーしている感じでした。
三笘選手は非常に落ち着いていましたし、見事なアシストだったなと思います。昨シーズンまでは、ちょっとばたつくところがあったんですね。プレー中に頭が下がって、ボールばかりを見てしまう時間も多かった。それに、 目の前の一対一を楽しんでいるというか、一対一を外してから何か考えようっていうシーンも何度ありました。でも今は、一対一の先、もう2手ぐらい先をイメージしながらプレーしてるような気がします」