■偶然の出会いの連続

 イングランドやスペインのサッカーでは、攻撃でも守備でも「個の力」による打開が求められる。周囲の選手は日本のチームでのようにサポートをしてくれない。

 だが、ドイツのサッカーはより集団的だ。そして、ドイツではヨーロッパ人選手のようなフィジカル的な強さがない部分を周囲の選手がカバーしてくれる。それによって、小柄でテクニックがあり、小回りが利く日本人選手をチームの中でうまく利用してくれているのだ。また、戦術的規律が重視されるドイツでは、監督の指示に忠実な日本人選手が評価されるのだろう。

 サッカーと通じての日本とドイツとの関係は、ある意味では偶然によるものだった。第1次世界大戦で日本がドイツと戦って、当時の日本人学生の前にドイツ人捕虜が現われたことは大きな偶然だったし、初めての“世界への挑戦”の舞台がベルリンになったのも、これもまた偶然だ。

 もし、1960年代初めに野津謙が協会会長でなかったら、デットマール・クラマーの招聘は実現していなかっただろう。

 だが、そうした偶然による出会いが日本サッカーにとって実り多いものになったのは、やはり、ドイツのサッカー文化と日本との親和性が高かったからなのではないだろうか。

 そんなことを頭の片隅に入れながら、ドイツ代表との戦いを楽しみたいものである。

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